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肉体と精神の限界に挑む41歳 SUP世界大会で優勝の吉田(名護市)「ボードをこぐことは自己実現」


社会
肉体と精神の限界に挑む41歳 SUP世界大会で優勝の吉田(名護市)「ボードをこぐことは自己実現」
この記事を書いた人 Avatar photo 大城 三太

 SUP(スタンドアップパドルボード)で、日本人の中でも先駆け的存在として競技に打ち込み、情熱を燃やす吉田竜平(41)=名護市=が今月タイで行われた世界大会で年代別優勝を果たした。「海の上をこぎ進めていくために難しい技術が求められ、奥深いスポーツ。自分のライフスタイルそのものだ」と競技を愛してやまない。

 ICF(国際カヌー連盟)の世界選手権大会のメンズマスターズ40代クラスで1キロテクニカル優勝、200メートルスプリントで3位、15キロディスタンスで7位に輝いた。スタートダッシュのスプリント力が持ち味で、これまでの経験値も生かし、「特に国内のライバルたちに負けたくなかった」と3種目とも日本人トップの成績を残した。「競うことが好きなので努力できるし、年々タイムも速くなっている」とたぎる思いで競技と向き合い、成長し続けている。

 吉田 竜平

 山形県出身の吉田はマリンスポーツの魅力にはまり、ライフセーバーとして沖縄のホテルに就職した。20代の頃、ライフセービング競技の全日本チャンピオンになった。30代手前でサップと出合い、本格的にレースに出場したのは30歳になってから。いつの間にか若い世代に追い越されるようになったが、それでも情熱のともしびが消えることはない。「若い世代の活躍があり、僕も頑張れる。限界を引き上げてくれる存在」と一選手として後輩たちと謙虚に向き合う。

 基地従業員としてフルタイムで勤務し、普段は名護湾や嘉陽ビーチで練習する。「海の上でボードをこぐことが私の自己実現の手段」とレースを通し、肉体と精神の限界に挑んでいる。

 「子どもたちにとって自慢の父でありたい。困難にぶつかった時も努力して立ち向かう大切さを後ろ姿で伝えたい」と言葉を紡いだ。

 (大城三太)