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富安独走 執念のV<第29回2024おきなわマラソン>


富安独走 執念のV<第29回2024おきなわマラソン> 中間地点付近で、濱崎達規(左)を抜いてトップに立つ富安央=18日、うるま市(喜瀬守昭撮影)
この記事を書いた人 Avatar photo 名波 一樹

 第29回2024おきなわマラソン(主催・中部広域市町村圏事務組合、琉球新報社、沖縄テレビ放送、沖縄陸上競技協会、県総合運動公園指定管理者トラステック)が18日、沖縄市の県総合運動公園を発着点に開催された。フルマラソンの競技部門は富安央(27)=愛知県=が2時間22分15秒、女子は池原綾乃(38)=浦添市=が3時間0分21秒で優勝した。一般の部男子は富田繁生(42)=那覇市=が2時間39分3秒、女子は上間有貴(47)=宜野湾市=が3時間29分16秒で栄冠をつかんだ。

つった足 一心に前へ

 嘉手納基地第2ゲート前の28・8キロ付近。独走する富安央(あきら)(27)=愛知県=の足が止まった。「やめようかな」。右足がつってリタイアの文字も脳裏をよぎったが、応援の声に心奮い立たされ、「ここでやめられないな」と再び駆け出した。手負いも最後までレースをやめることはなく、初出場での栄冠を手にした。

 「最初の5キロを17分で走る」と意識してスタートを切った。平たんな道も起伏の激しい道も、決してペースを上げすぎない。「前についていこう」と先頭を追って淡々と走り続けた。

 20キロ手前で先頭のペースが落ち、「交代して前で引っ張ろう」と上り坂付近でトップに立った。食らいつく後続を徐々に突き放し、一人旅の状態に入った。

 しかし、嘉手納基地までの坂道でペースを上げすぎ、「下りで足の制御が効かなくなった」。足がつって基地の手前で一時停止。一度伸ばして走りだすも、またつった。「いつ抜かれてもおかしくない」と不安を抱えながらも、ただひたすら足を前へ。苦しい表情も見せたが、2時間22分15秒でゴール。「たどり着くのがやっとだった。もう少し力強い走りができれば」と優勝にも少しの悔しさをのぞかせた。

 五輪切符を懸けるMGC(マラソングランドチャンピオンシップ)を経験した実力者。初めてのおきなわマラソンを「起伏が激しくタフな道だった」と振り返り、「次は新記録を狙いたい」と意気込んだ。

 (名波一樹)


【競技の部 男子上位結果】

(1)富安央(愛知県)   2時間22分15秒
(2)濱崎達規(浦添市)  2時間23分13秒
(3)黒田雄紀(千葉県)  2時間26分25秒
(4)今井隆生(埼玉県)  2時間31分51秒
(5)前新城羽信(滋賀県) 2時間32分10秒

【競技の部 女子上位結果】

(1)池原綾乃(浦添市) 3時間0分21秒
(2)川内侑子(埼玉県) 3時間2分13秒
(3)長山夢芽(大阪府) 3時間2分31秒
(4)米倉まり(福岡県) 3時間12分2秒
(5)東江那津(西原町) 3時間18分44秒

【高校の部 男子上位結果】

(1)幸地弘樹(那覇市) 3時間44分52秒
(2)柿谷悠貴(埼玉県) 3時間57分14秒
(3)北島碧(宜野湾市) 4時間12分35秒
(4)高嶺秀麻(糸満市) 4時間14分52秒
(5)横山大新(埼玉県) 4時間21分52秒

【高校の部 女子上位結果】

(1)千葉慈生(埼玉県)  4時間55分3秒
(2)生一風花(南城市)  5時間39分34秒
(3)西銘りこ(八重瀬町) 5時間50分5秒
(4)村吉凛(那覇市)   5時間57分2秒
(5)城間唯(那覇市)   5時間57分2秒


<レース展開>富安、25キロから追随許さず

 平坦な道が続く序盤は外間勇太、濱崎達規、富安央、黒田雄紀の4人が先頭集団を形成した。10キロ付近の上り坂で濱崎がスパートをかけて先頭に立つ。ここで外間が脱落し、3人で争う展開となった。20キロ付近で3番手だった富安が抜け出し先頭へ。黒田は遅れ、濱崎が後ろから追うも徐々に差が開いた。25キロ地点すぎにはほとんど富安の独走状態となった。29キロ手前で富安は足がつって一時止まったが、2位以下の追い上げを許さずそのままゴールした。