前回大会王者の寺澤光介(東京都)がスイムから一度もトップを譲らずに宮古島を駆け抜け、連覇を果たした。「期待されていた2連覇ができてほっとしたというのが正直の気持ち。素直にうれしい」と表情が緩んだ。
得意のスイムで上位に入り、バイクとランで逃げ切る展望通りのレースができた。スイムはトップ集団を引っ張り、新田城二と同時にフィニッシュ。バイクは先にスタートすると、ここから一人旅を続けた。池間島から東平安名崎を目指す際の向かい風を意識し、最初は飛ばさないようにしたが、池間島を出る頃にやっと2位の選手が島に入るくらいの差をつけ、フィニッシュでは後続と18分の差をつけた。
しかし、ランに挑もうとした時に違和感に襲われる。体にだるさがあり「きょう、ちょっとやばいかもしれない」と感じていた。アップダウンがきつく暑さもこたえていたため、エイドを見つけるたびに水分補給をしながら体を冷やし続けた。先が見えるワンウェイのコースは距離が長く感じてしまい、メンタル的にもきつかった。
それでも、島民の応援に救われた。応援に手を振り返したり沿道の人とタッチしたりすると気分も和らぎ、ゴールまで駆け抜けた。「最後は結構ギリギリだった。手もちょっとしびれてきていた」と過酷なレースをなんとか乗り切った。
「去年の自分を超える」という目標は「バイクとランでうまくいかなかった」。3連覇もかかる来年はロングに興味を持つ五輪選考経験者が出場すると厳しいとみている。それでも「3連覇したい。レジェンドになれるかな」と笑う。史上1人しかいない総合3連覇、3人しかいない総合3度優勝と宮古島大会の伝説に挑むつもりだ。
(第38回全日本トライアスロン宮古島大会)
(屋嘉部長将)