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棟田、初海外試合で金三つ アジアジュニア体操 個人総合、跳馬、段違い平行棒 器具、環境違い乗り越え 県出身女子初 五輪目指す


棟田、初海外試合で金三つ アジアジュニア体操 個人総合、跳馬、段違い平行棒 器具、環境違い乗り越え 県出身女子初 五輪目指す 5月に行われたアジアジュニア選手権大会で個人総合優勝や団体2位に入った棟田琳音(相好体操クラブ提供)
この記事を書いた人 Avatar photo 屋嘉部 長将

 5月にウズベキスタンで行われた体操の第17回アジアジュニア選手権大会で浦添市出身の棟田琳音(神森小―三重・三滝中3年、相好体操ク)が女子個人総合で優勝した。種目別では跳馬、段違い平行棒でも優勝。2位となった団体でもチームのけん引役となった。「いろいろなプレッシャーもあったが、大きなミスがなく、2日間演技ができたのが大きな自信になった」と初の海外試合を振り返った。

 大会の3日前に現地に入った棟田。時差ぼけなどはなかったが、海外大会の洗礼をいきなり受けた。一番の大きな違いは器具だった。段違い平行棒はほとんどしなりががないなど日本の器具との違いで調整に苦戦したが、本番までにしっかり合わせられた。また、外国語が飛び交う周囲の環境にも戸惑った。

 環境の違いやさまざまな重圧は試合当日に表れた。「手にしびれがくるぐらいだった」。これまでに感じたことのない緊張感に襲われた。それでも初日の団体決勝、個人総合決勝、種目別予選の演技ではダイナミックな演技を見せた。団体では跳馬、段違い平行棒、平均台ではチーム内で最高得点を記録し、2位入賞に貢献した。

 個人総合でも全体1位となった跳馬のほか、「あまり点数が伸びなかった」という床運動も全体5位に入るなど全種目で高得点をたたき出し、初優勝を決めた。

 最終日の種目別決勝には予選を突破した跳馬、段違い平行棒、平均台に出場。平均台では4位となったが、段違い平行棒と跳馬で頂点に立った。特に跳馬では「いつもより助走のスピードが乗っていい跳躍ができた」と自身の持つ最高難度の「カサマツハーフ」も成功させた。

 初の海外大会で、多く種目で優勝した棟田。一方、海外選手の一つ一つの技の丁寧さや姿勢の美しさに刺激も受けた。「技に集中して動きが縮こまる部分もあった。表現力はまだレベルアップできる」と反省も忘れない。

 世界に向け、大きな一歩を踏み出した棟田の目標は、2028年に開催されるロサンゼルス五輪に出場することだ。「いつも見ていてまねをしている」という同じクラブの岡村真がパリ五輪出場を決めた。身近な先輩が五輪出場を決めたことは大きな刺激になった。

 ロサンゼルス五輪出場に向け、今後は新しい技の取得し、課題の表現力を向上させていく。「4年後のロスまであまり時間はない。計画的に技もレベルアップし、世界でもっと戦っていける選手になりたい」。体操で県出身女子初のオリンピック出場へ棟田の歩みは止まらない。

(屋嘉部長将)