高校野球の秋季九州大会(第155回九州大会)は26日、大分県の別大興産スタジアムなどで開幕し、1回戦4試合を行った。エナジックは神村学園(鹿児島1位)に2―1で競り勝ち、初戦を突破し九州大会で初勝利を挙げた。0―0で迎えた五回、エナジックは山城幹大の適時打で1点を先制した。六回には伊佐英太の適時打で2―0とリードを広げた。最終九回に1点を返されたが、先発の久髙颯の好投で抑えきった。初出場の壱岐(長崎)と育徳館(福岡)、柳ケ浦(大分)も8強入りを果たした。壱岐は専大熊本玉名を6―3で破り、育徳館は日南学園(宮崎)に2―1でサヨナラ勝ち。柳ケ浦は龍谷(佐賀)を5―3で下した。27日に1回戦の残り4試合が行われ、沖縄尚学は27日午前10時、同球場で佐賀北(佐賀2位)と戦う。夏の甲子園大会に出場した明豊(大分)は鹿児島実と対戦する。
「ここで勝って下克上」―。エナジックのエース左腕・久髙颯が、今夏甲子園4強の神村学園を相手に、被安打3、6奪三振の快投で勝利を引き寄せた。スライダーがさえて七回まで無安打に封じ、九州の地で存在感を示した。
140キロ前後の直球でカウントを取り、キレのあるスライダーで低めを突いて空振りを誘った。「変化の時ほど腕を振って、工夫して錯覚させた」。時には右打者にチェンジアップも用いるなど、的を絞らせなかった。
ただ、最終九回には1失点の後に、2死満塁のピンチにも立たされた。一打許せば並ばれる場面。それでも「自分がつくったピンチなので抑えきる」と気迫のスライダーで最後の打者を三振に仕留めた。
春のセンバツ出場へと一歩近づいたエナジック。久髙は「少しも油断はせず、一戦一戦頑張っていきたい」と語気を強めた。
(名波一樹)
「絶対1点取ってやる」 捕手・山城 攻守でエース支える
エナジックの2番・山城幹大は打っては先制適時打、捕手としては的確なリードを見せ、攻守でエースを支えた。
双方無安打で迎えた0―0の五回。7番・福本琉依の安打などでつかんだ無死二、三塁の好機を併殺とされた。1番・イーマン琉海が申告敬遠となり、2死一、二塁で打席に山城が入る。「流れを持っていかれないよう、絶対1点取ってやる」。内角直球を左前へと運び、念願の先制点をもぎとった。マスクをかぶれば「打者を見ながら、投げやすいよう(配球を)意識した」と最少失点に貢献した。
山城は「次戦が一番大事。勝ったことを忘れて万全で挑む」と意気込んだ。
(名波一樹)