来春の全国高校野球選抜大会出場の参考資料となる秋季九州大会(第155回九州大会)第5日は30日、大分県の別大興産スタジアムで準々決勝が行われ、八回途中から再開した継続試合で沖縄尚学が鹿児島実を5―0で下し、エナジックとともに県勢2校が4強入りを果たした。29日は沖縄尚学が二回に1点、六回にも1点を追加した。八回に阿波根裕の適時三塁打で1点を加えた直後に中断し、降雨のため継続試合となった。30日は沖縄尚学が3―0でリードする八回裏2死三塁から再開。宮城泰成の適時三塁打で2点を追加して勝利した。先発の末吉良丞は4安打完封した。県勢の2校出場が決まれば、沖縄尚学と美里工が出場した2014年以来の11年ぶり。10年の嘉手納と興南を含め3度目となる。31日の休養日を挟み、11月1日の準決勝は柳ケ浦(大分)―エナジック、西日本短大付(福岡)―沖縄尚学の顔合わせとなった。
▽準々決勝
鹿児島実
000 000 000 │0
010 001 03×│5
沖縄尚学
(鹿)大野―島田
(沖)末吉―山川
連係でピンチ切り抜け 捕手・山川と軸に
沖縄尚学の1年生バッテリーが完封試合を成し遂げた。継続試合で2日間にわたった攻防で、エース末吉良丞と捕手の山川大雅が軸となって4強への道を切り開いた。
相手の初戦を見て変化球を打ち損じていることを分析し、変化球中心の配球を組み立てた。徐々に合わせられていると察知するや、直球を増やして的を絞らせない。コースを突く直球やスライダーで攻めた。
三回は失策などから1死満塁の危機。それでも一ゴロに詰まらせ、末吉がつかんで送球。山川が本塁を踏み、素早く一塁へ転送して併殺とした。「(ピンチも)楽しもうと声をかけ、笑顔で乗り切れた」と山川は連係プレーに胸を張った。
四回は2安打を浴びて再び1死満塁に。すると末吉が相手スクイズを鮮やかなグラブトスで処理し、山川が3走を本塁で封殺。好プレーで場内を沸かせた。次打者を変化球で三振に切って雄たけびを上げた末吉は「ピンチの場面でギアを上げた」と振り返った。
末吉は2安打2打点、山川は3犠打で得点に絡むなど2人は攻撃でも活躍。末吉は「集中力を切らさず、試合に入れた」、山川は「いいテンポでできて、最後も抑えられた」と語った。
(名波一樹)
ダメ押し2点もぎ取る 宮城、再開後に適時三塁打
勝利を確信させる大きな一打だった。再開後の沖縄尚学の攻撃。2番・宮城泰成の適時三塁打が飛び出し、ダメ押しの2点をもぎ取った。
2死三塁から1番・眞喜志拓斗が四球を選んで一、三塁。追加点の好機で宮城が立った。たたきつける打法を意識しすぎるあまり、これまで凡打が続いていた。「たたかず思い切ったスイングで」。甘く入った低めの直球を振り抜くと、打球は中奥への大きい当たりとなった。
好天の下での今大会初安打。「チャンスで打つという気持ちが結果になった」と晴れやかに語った。
(名波一樹)