急逝した芸人の記録 沖縄お笑いの歴史も描く 映画「ファニーズ」きょう公開 弟・山城智二監督に聞く


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 26歳で急逝したお笑いコンビ「ファニーズ」の山城達樹の生涯を追ったドキュメンタリー映画「ファニーズ」が8日から、シネマQとミハマ7プレックスで公開される。達樹は芸能事務所「FECオフィス」を立ち上げ、沖縄のお笑いの裾野(すその)を広げた。達樹の2歳下の弟で、代表を引き継いだ芸人、山城智二が本作品の監督。智二に作品への思いを聞いた。 (聞き手・田吹遥子)
 ―制作のきっかけは。
 「制作会社から声かけがあった。達樹のことを何か残さないといけないという思いはずっとあったので、二つ返事で引き受けた」
 ―昨年8月の達樹さんの命日から撮影が始まった。
 「10カ月間撮影して、途中からは撮影と編集の同時進行だった。映像の編集は7月までかかった」
 ―以前、達樹さんについて「常に沖縄のお笑い界全体のことを考えていた」と話していた。撮影を通して気付いたことは。
 「達樹が残してくれたものがいっぱいあったし、常に対話してる感じだったので、初めて気付くことはほとんどなかったが、(映画で紹介される)達樹と接した人のエピソードは新鮮だった」
 ―沖縄のお笑いの歴史まで描いた理由は。
 「達樹が沖縄のお笑いの一部分を作ったという思いがあるので、沖縄のお笑いの歴史を踏まえながら僕なりに表現したかった。沖縄の歴史や風習、空気感も伝えたいと思った」
 ―達樹さんが残したノートを基にFECを引き継いだ後、智二さん自身の気持ちの変化も映画に残した。
 「(引き継いでからは)達樹が残してくれたもので乗り越えられた。でも、それは達樹が残したことをただやっているだけだ。自分がやりたいことをごまかしていると自分も壊れるところまできたので、達樹が残してくれたものをやりつつ、自分のやりたいこともやると切り替えた」
 ―改めて見どころを。
 「映画では家族や兄弟の絆とか、普遍的な部分も表現している。もう会えないけど、会いたい人と言えば自分にとってはやはり達樹。皆さんにとってそういう存在は誰だろうと考えるきっかけにもなれば」
 ◇詳しい記事は琉球新報デジタルで。
兄・山城達樹の足跡をたどったドキュメンタリー映画「ファニーズ」について語る山城智二監督=8月30日、琉球新報社
お笑いコンビ「ファニーズ」の山城達樹(左)と渡久地政作(FEC提供)
 やましろ・たつき 1969年生まれ。学生時代に同級生の渡久地政作とお笑いコンビ「ファニーズ」を結成。テレビやラジオなどで活躍した。コンビの活動と並行し93年に、大学卒業とともに芸能事務所「FECオフィス」を創設。お笑いオーディションなども実施し、若手の育成にも力を入れた。96年に26歳で急逝した。