損保ジャパン社長辞任へ ビッグモーター不正を無視


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 中古車販売大手ビッグモーター(東京)による自動車保険の保険金不正請求問題で、損害保険ジャパンの白川儀一社長(53)は8日、東京都内で記者会見し引責辞任を発表した。不正の可能性を認識しながら、取締役会での議論を経ずにビッグモーターとの取引再開を決めたことを明らかにした。「反発を恐れ、厳正な対応ができていなかった」と述べ、経営判断を誤った背景に両社の癒着があることを認めた。 (6面に関連)
 事故車両を故意に傷つけ修理代を水増しする不正に端を発した問題は、損保大手のトップが表舞台から追われる事態に発展した。白川氏が辞任を申し出た。辞任時期や後任は今後決める。
 会見に同席した親会社SOMPOホールディングス(HD)の桜田謙悟会長兼グループ最高経営責任者(CEO)は「自ら今(身を)引くつもりがあるかと言われたらそういうことではないと思う」としつつ、外部弁護士の調査委員会による客観的事実を踏まえて明確にする意向を示した。
 白川氏は、2022年7月の役員会議で事故車両の修理をあっせんする取引の再開を決めたのは「軽率だった」と謝罪した。自動車保険の契約が競合の大手2社に流れるのを懸念したことが理由の一つとした。
 損保ジャパンがビッグモーターと取引を始めたのは旧安田火災海上保険時代の1988年。2004年から出向者を出し関係を深めた。ビッグモーターが22年度に取り扱った保険料約200億円のうち、損保ジャパンは約6割を占めた。
 監督官庁の金融庁は今月中旬に損保ジャパンとビッグモーターへの立ち入り検査を開始。不正の温床とされる両社の癒着の実態にメスを入れる。