紫らレジェンド3組競演/日比谷野音/不滅のロック魂


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 46年たっても変わらないロックスピリッツ―。真夏の夜のステージで、オキナワンロックのレジェンドがその神髄を見せつけた。ジョージ紫率いる1970年結成のロックバンド「紫」が8月19日、東京都千代田区の日比谷野外大音楽堂の舞台に立った。77年に開催された野外ロックコンサートを再現する企画の一環で、ギタリストのChar(チャー)、4人組ロックバンド「BOWWOW(バウワウ) G2」と46年ぶりに競演。圧巻のパフォーマンスで満員の観客を熱狂させた。

 「カミング・フロム・オキナワ!」
 ボーカルのJJが叫ぶと、集まった2500人(主催者発表)は、大歓声で大御所バンドの再演を祝した。
 77年夏、栃木県日光市の霧降高原や東京・日本武道館などで行われた紫、チャー、バウワウの3組による野外ロックコンサート「NEW WAVE CONCERT」を再現したステージ。
 トリを務めた紫は、「Doomsday」「Mother Nature’s Plight」など6曲を披露し、ベトナム戦争下の沖縄・コザで米兵を熱狂させた爆音ロックを都心の夜空に響かせた。
 ソロパートでは、リーダーでキーボードのジョージ紫が流麗なテクニックを披露すると、ドラマーの「チビ」こと宮永英一も、負けじとパワフルなドラミングで盛り上げた。
 この日は、トリの紫のみならず、出演した3組が三者三様に観客を沸かせた。
 初陣を飾ったチャーは、ロック界随一のギターテクニックで酔わせ、2組目のバウワウも大音響のパワフルなハードロックで圧倒した。
 アンコールでは、紫の代表曲「Double Dealing Woman」など3曲で3組が協奏し、盛り上がりは最高潮に達した。
 演奏終了後、バックステージで宮永は「ほとんどぶっつけ本番だった」と明かし、「これだけ楽しめたのは、やっぱりみんなそれぞれこの世界で長く生きてるし、しっかり生き残ってるからだ。本当に幸せだなと痛烈に感じた」と笑顔を見せた。
 沖縄の日本復帰間もない頃から紫のメンバーと親交があるというチャーは「やっぱりそういうロックのスタンダードがあるから。みんな遊び方を知ってるんだよね」とちゃめっ気たっぷりに語った。
 ジョージ紫は「何十年たっていても、みんなロックのスピリッツを維持していた。最高だった」としみじみ。それぞれが、時間と場所を超えて響き合った熱狂の一夜の余韻に浸っていた。
 (文・安里洋輔、写真・喜瀨守昭)

12月、東京で紫ワンマンライブ

 紫のワンマンライブが12月17日午後5時、東京都の恵比寿The Garden Hallである。プレミアムシート1万5000円(2ドリンク、1タパス付き)、指定席9000円。問い合わせは、HOT STUFF PROMOTION電話050(5211)6077。

BOWWOW G2、Char、紫と観客が一体となったフィナーレ

オキナワンロックの風を日比谷に吹かせた紫のジョージ紫 =8月19日、東京都の日比谷野外大音楽堂

華麗なステージでファンを魅了するChar

息の合ったギター演奏で会場を盛り上げるBOWWOW G2の山本恭司(左)と斎藤光浩