H2A打ち上げ成功 月面探査機 日本初の着陸目指す


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月面着陸を目指す探査機などを載せ、鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられたH2Aロケット47号機=7日午前8時42分
 三菱重工業は7日午前8時42分、日本初の月面着陸を目指す探査機「SLIM(スリム)」とエックス線観測衛星「XRISM(クリズム)」を載せたH2Aロケット47号機を種子島宇宙センター(鹿児島県)から打ち上げた。2機は予定の軌道に投入され、打ち上げは成功した。H2Aでの成功は2005年の7号機から41回連続。
 H2Aはこれまでの47機のうち失敗は1機だけで、成功率は約98%。国産ロケット開発を巡っては、22年10月に小型機イプシロン6号機、23年3月に新型H3の1号機が相次ぎ打ち上げに失敗。日本の宇宙開発事業に対する信頼が損なわれかねない状況だったが、今回のH2A47号機でなんとか面目は保たれた形だ。
 宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発したスリムは、月の狙った場所にピンポイントで着陸させる新技術の実証が目的。地球を周回してから月の周回軌道に到着し、来年1~2月ごろに月面着陸に挑戦する見通し。成功すれば、旧ソ連、米国、中国、インドに続き世界で5カ国目となる。
 月着陸時はカメラで撮影する画像から月の赤道付近にあるクレーターを識別し、着陸地点の情報と照合して誤差を100メートル以内に抑える。重力が大きい天体での無人機着陸は難しく、従来の精度は数キロ~十数キロだった。JAXAはこの技術を確立し、米主導の国際月探査「アルテミス計画」にも貢献したい考え。
 JAXAが米航空宇宙局(NASA)などと共同開発した観測衛星クリズムは、天体や高温ガスが出すエックス線を捉えて、銀河や星の構造を探る。
 打ち上げ後の約3カ月間、機能調整などをしてから観測を始める。