日米基地 相互使用4倍 中国念頭に共同訓練 米軍活動 全国に拡大


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 外交、防衛担当者による協議機関の日米合同委員会で、自衛隊と在日米軍が施設を相互に使用することで合意した件数が、過去10年で約4倍に増加したことが9日、共同通信の集計で分かった。海洋進出を強める中国を念頭にした自衛隊施設での共同訓練が多く、米軍が日本国内での活動の場を広げている実態が明らかになった。 (3面に関連)
 合同委での交渉の詳細は非公表で、米主導の「密室協議」との指摘がある。米軍と直接の窓口を持たない地元自治体への説明が不十分なまま、相互使用がさらに加速する可能性がある。
 日米地位協定2条は、米軍が日本管理の施設・区域を使用する場合や、自衛隊が在日米軍施設を使う際には合同委での合意が必要と定めている。
 2013年以降に防衛省が公表した合意事案のうち、整備や工事関連などを除いた新規の施設・区域使用分を集計した。
 件数は13年の7件から年々増加。新型コロナウイルス禍の20年を除き、28件だった18年以降は年20件を超え、22年は27件、23年は8月現在で23件に上っている。
 使用目的の大半は日米共同訓練だった。件数が急増した18年以降は、日本が管理する自衛隊施設などの合意が毎年7割前後を占めた。
 中でも近年は南西地域が目立つ。19年開設の陸上自衛隊奄美駐屯地(鹿児島県)は同年8月、16年設置の陸自与那国駐屯地と徳之島(鹿児島県)は22年10月に、それぞれ初の共同訓練を行うために合意した。同年10月には陸自15旅団(那覇市)が米軍普天間飛行場で展開訓練をするための合意もあった。