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G20 ロシア非難回避 首脳宣言、ウクライナ落胆 サミット閉幕、禍根残す


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 【ニューデリー共同=山崎翼、高司翔一郎】日米欧の先進国に新興国を加えた20カ国・地域首脳会議(G20サミット)は10日、インドの首都ニューデリーで2日間の日程を終え閉幕した。初日に採択して公表するという異例の形となった首脳宣言は中国とロシアの賛同を優先し、ウクライナ侵攻を続けるロシアに対する名指しでの非難を避けた。ウクライナは落胆を示し、禍根を残した。
 議長を務めたインドのモディ首相は閉幕前のあいさつで、ロシアのウクライナ侵攻に言及しなかった。岸田文雄首相は閉幕後に記者会見し「食料安全保障、開発、保健、デジタルといった課題について議論し、首脳宣言に合意できたことは大きな意義がある」と述べた。ウクライナ外務省のニコレンコ報道官は9日に「ロシアのウクライナ侵略に関し、G20が誇れるものは何もない」とフェイスブックに投稿した。
 首脳宣言には、ウクライナ危機に関連して「全ての国は領土獲得のための威嚇や武力行使を控えなければならない」、「核兵器による威嚇や使用は容認できない」との表現が盛り込まれた。しかし、昨年11月にインドネシアのバリ島で開かれたG20サミットの首脳宣言は「ほとんどのメンバーがウクライナでの戦争を強く非難」と明記しただけに、後退感は否めない。
 インドの後を継いでG20の議長国となるブラジルのルラ大統領は10日、リオデジャネイロで来年11月にサミットを開くと表明した。ただ「地政学的問題がG20の議論を乗っ取ることがあってはならない」と語り、ロシアのウクライナ侵攻に関する議論には消極的だ。
 首脳宣言では、エネルギー問題に関連し、各国の事情に応じて2030年までに世界の再生可能エネルギーの容量を3倍にする目標を掲げた。