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(沖縄国際大名誉教授) 石原昌家 識者談話 特別な対応でも良かった


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 沖縄戦の聞き取りを通じて、激戦地の南部一帯では、遺骨があちらこちらに散らばっていたと聞いた。至る所に遺骨があり得る状態だと思う。大きな遺骨は収集されているが、小さい骨まで含めて遺骨の全てが収集されることはないだろう。
 仮に、そういう場所の土砂を使って軍事基地を作るとすれば、戦争の犠牲となった人は二度殺されるも同然だ。人類史上でも前例のないような地上戦のあった沖縄の歴史を考えないといけない。
 20~30年前には、こういう問題は起こらなかったと思う。戦争の悲惨さを鮮明に記憶していた人々がだんだんと高齢化し、亡くなった人も多い。どんどん人がいなくなってしまうと、こういうことが起こる。
 平和の礎が、敵味方を関係なく名前を刻んでいるのは、それが戦場の跡を表すからだ。遺骨の代替物として、礎に個人の名前を刻むことで、戦争を二度としないという沖縄の思いを確固たるものとしている。それを踏まえれば、法律でこう決まっているからというだけでなく、地上戦の記憶を持つ特別な土地ということを考え特別な対応があっても良かったのではないか。