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コロナ教訓、国権限拡充 地制調 自治体指示、法制化を


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 感染症拡大や大規模災害など、非常時への対応策を議論している政府の地方制度調査会(地制調)の専門小委員会は11日、答申の方向性を示す論点整理案を公表した。新型コロナウイルス禍の混乱を教訓とした国の権限拡充が柱。具体的には、感染症法など個別法に規定がなくても、非常時であれば国が自治体に指示権を発動できる新ルールの法制化が必要とした。
 次回会合で全国知事会など地方6団体の意見を聞く予定。国の権限強化には慎重意見が出る可能性がある。答申は年内の取りまとめを目指す。
 自治体に国民の安全確保などを求める国の指示権は原則、感染症法や災害対策基本法など個別法で発動できるケースを限定的に定めている。国と自治体は対等の立場で、指示の乱発を防ぐためだ。これについて論点整理案は「個別法が想定しない事態が生じた場合、国は指示ができない」と指摘した。
 個別法に規定がなくても指示権を発動できるのは「災害、感染症など国民の安全に重大な影響を及ぼす場合」などとした。新たなルールは地方自治法への明記を想定している。
 総務省によると、新型コロナでは当初、特別措置法が国の指示権発動を緊急事態宣言下に限っており、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の患者搬送先を巡る自治体との調整が難航した。感染症法の規定が緊急時に限定していたため指示権を行使できず、感染状況の把握が遅れるケースもあった。これらは、その後の法改正で是正された。しかし地制調は、個別法が想定しない事態は今後も起き得るとして、地方自治法で補完する必要性があると判断した。