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内閣の召集責任、再確認を 臨時国会訴訟最高裁判決


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 憲法53条に基づく臨時国会の召集は明文で規定された内閣の義務だ。12日の最高裁判決は結論こそ野党議員側の敗訴だが、裁判官1人であっても召集の遅れには賠償が相当だとの反対意見を付けた事実は重い。結果だけを見て、内閣が召集時期を時の政治情勢などで恣意(しい)的に決められるかのように受け止めるべきではない。  (26面に関連) 
 今回の場合、野党側は2017年当時に国民の関心事だった森友学園、加計学園の疑惑解明を目的に召集を要求していた。安倍内閣の対応は53条が要求から実際の召集までの期間を明確に示していない点をもって、政権に不都合な問題の追及を逃れる「先延ばし戦術」だったと批判されても仕方がない面がある。
 原告側は後継の菅内閣が新型コロナウイルス対策のための臨時国会を長期間召集しなかった対応も「国会議員としての職務を全うできない」と訴えていた。当時は国民の命と健康に関わる切実な問題として、早急に議論すべきだったはずだ。
 自民党による12年の憲法改正草案は臨時国会を召集すべき期間を要求から20日以内としており、今回の対応は自ら定めたルールとも矛盾している。国会は国政の適切な運営を論じる場であり、議員は与野党を問わず国民の代表だ。一定数を通じて臨時国会を求めた場合、内閣には速やかに応じる責任があることを改めて確認する必要がある。