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重い副作用への懸念強く アルツハイマー病薬「レカネマブ」


重い副作用への懸念強く アルツハイマー病薬「レカネマブ」 副作用への懸念など専門家の見方を紹介した米科学誌サイエンスの記事(同誌提供)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 製薬大手エーザイと米バイオジェンが共同開発し、早期のアルツハイマー病の進行を遅らせる効果があるとされる薬剤「レカネマブ」。米国で承認されたものの、重い副作用への懸念は強い。
 アルツハイマー病の原因を巡っては、アミロイドベータというタンパク質が脳に蓄積し神経を傷つけることで起こるとの仮説がある。レカネマブはアミロイドベータに結合して減らすとされる。
 8月4日付の米科学誌サイエンスによると、レカネマブの副作用として問題視されているのは脳の浮腫(むくみ)や出血だ。治験では投与された人の13%で浮腫が、17%で出血が起こり、いずれも偽薬を投与された人よりも出現率が高かった。程度は無症状から致死的なものまで幅がある。
 米食品医薬品局(FDA)は承認に当たり、最も強い警告である「ブラックボックス警告」の表示を義務付け、「たいていは無症状だが、まれに重い症状や致死的な事態が起こり得る」と表示されることになった。
 FDAは副作用のリスクを高める要因として(1)アルツハイマー病のリスクに関わる遺伝子変異がある(2)脳の血管にアミロイドベータがたまる「脳アミロイドアンギオパチー」がある(3)脳梗塞などの治療や予防のため血を固まりにくくする抗凝固剤の使用―を挙げる。サイエンスは、浮腫や出血が認知機能に与える影響についての治験データが示されていないとする専門家の声を伝えている。

副作用への懸念など専門家の見方を紹介した米科学誌サイエンスの記事(同誌提供)