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原発事故費 増大へ 電力利用者負担増も


原発事故費 増大へ 電力利用者負担増も 東京電力福島第1原発事故の対応費用
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 東京電力福島第1原発事故の対応費用が、政府試算の21兆5千億円から上振れする見通しであることが13日、関係者への取材で分かった。処理水の海洋放出に伴う風評被害の賠償が膨らみそうなためで、被災者への賠償などに充てる政府の資金援助額が、早ければ2024年度にも上限の13兆5千億円を超えることになった。賠償費用は最終的に東電を含む大手電力会社などの負担金が財源となっており、電気料金を通じて利用者の負担増につながる恐れがある。
 炉心溶融が起きた1~3号機では、溶け落ちた大量の核燃料(デブリ)の取り出し作業が予定より大幅に遅れ、廃炉費用も8兆円で収まるかどうか不透明だ。費用の総額が膨らみ続けることが懸念される。
 原子力損害賠償・廃炉等支援機構が15日に運営委員会を開き、有識者や政府の関係者らが東電への資金援助の増額に向けた議論を始める。処理水放出に伴う漁業者などへの賠償費用が膨らむ事態に備える。
 13兆5千億円の援助は、賠償のほか除染などの費用を含む。東電からの支払いが滞ることのないよう、政府が交付国債を発行し、支援機構を通じて資金を無利子で東電に貸し付けている。このうち賠償の財源は、東電や他の電力会社が支援機構に支払う負担金で賄う。
 政府は22年12月、賠償基準「中間指針」を見直し、対象を大幅に拡充。ふるさと(生活基盤)変容や過酷避難による精神的損害に対し、最大280万円を支払うなどの内容を追加した。