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創刊130年を迎えて 琉球新報社代表取締役社長 普久原均 沖縄の幸せに奉仕


創刊130年を迎えて 琉球新報社代表取締役社長 普久原均 沖縄の幸せに奉仕
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 琉球新報社はきょう9月15日、創刊130年を迎えました。その軌跡は近代沖縄の激動の歴史そのものです。読者のご支援にあらためて感謝申し上げます。


 創刊は1893(明治26)年、明治政府が沖縄を強制併合した「琉球処分」から14年後です。戦時中の3紙統合を経て、戦火がまだ収まらない1945年7月、「ウルマ新報」として再出発しました。1951年に「琉球新報」へ復元改題し、米国統治下から復帰と続く沖縄の“世替わり”を報道してきました。

 今また沖縄は大きな歴史の分岐点にあります。「南西諸島防衛」の掛け声の下、島々への軍事力配備が相次ぎ、米軍の新たな基地建設も続いています。本土上陸までの時間かせぎとして「防波堤」「捨て石」の役割を強いられた沖縄戦を、いやが応でも想起せざるを得ません。われわれは誰かの犠牲になるために生まれたのではない。戦前の反省を踏まえ、今度こそ沖縄の人を守り抜く報道を続けねばならないと肝に銘じています。

 インターネットを契機とした情報技術の革命で今、世界は激変しています。ネット上は真偽不明の情報があふれ、意図的に捏造(ねつぞう)したフェイク(偽)ニュースも広がっています。新聞の役割も、単に出来事を伝え、分析することから、そうした捏造情報の虚偽を暴くことへも広がっています。

 一方で琉球新報には変わらない役割があります。沖縄に立脚し、沖縄にこだわり、沖縄に住む人々の幸せに徹底的に奉仕すること。沖縄の人を絶対に戦火にさらしてはならない。子どもの貧困など沖縄の課題克服に努めなくてはならない。先祖から受け継いだ大切な独自文化を守り、経済の発展に貢献し、沖縄社会の架け橋になる。そんな役割を深く自覚し、質の高い報道に努めてまいります。