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「こわれゆく女」 桜坂劇場 18日公開 愛にあふれたカオス


「こわれゆく女」 桜坂劇場 18日公開 愛にあふれたカオス
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 「ジーナ、スカートがちょっと短い!」。4年前にみた本作の記憶をたどって、最初に思い出したのは、短すぎるスカートから伸びる、ちょっとくたびれたジーナ・ローランズの生足。冒頭、似合っていない若者ファッションでたたずむ彼女を見た瞬間、胸騒ぎがした。もうこわれているかもしれない。予感的中。

 ジーナが演じる主婦のメイベルは、子供のまま大人になったような純真さで、家事や育児を一生懸命こなしている。不器用で社会経験に乏しく世間知らずのまま主婦になり、かんしゃく持ちの夫との関係も3人の子どもの子育ても全てが混乱してるけど、でもみんな愛してる! 愛だけを原動力に突っ走ってきたもののついに崩壊した模様。夫のかんしゃくにこわれた妻の狂気が重なり、カオスと化したクライマックス。でもわかる。そこは愛にあふれたカオス。

 問題が生じたとき、愛は解決策にはならない。でも、人は愛していると、なんとかできるかもしれない。監督はジョン・カサヴェテス。

(桜坂劇場・下地久美子)