葵トリオ、多彩に三重奏 那覇 ワークショップで若手発掘も


葵トリオ、多彩に三重奏 那覇 ワークショップで若手発掘も 圧巻の演奏を披露した葵トリオの(左から)小川響子、秋元孝介、伊東裕=8月11日、那覇文化芸術劇場なはーと
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 バイオリンの小川響子、ピアノの秋元孝介、チェロの伊東裕で構成する「葵トリオ」のコンサート(主催・那覇市、ビューローダンケ)が8月11日、那覇文化芸術劇場なはーとであった。国際的に活躍するトリオによる圧巻の演奏が会場を沸かせた。

 公演は、ラフマニノフ「ピアノ三重奏曲第1番ト短調 悲しみの三重奏曲」の、チェロの空気をわずかに震わせるかすかな音色から始まった。繊細な音の重なりが徐々に激しさを帯び、歌うようなメロディーへ。幾重にも移ろう曲想を表情豊かに響かせた。

 続くベートーベン「ピアノ三重奏曲第6番変ホ長調作品70―2」の第1楽章は穏やかなカノンで始まり、バイオリンとチェロが奏でる主題を柔らかなピアノの旋律が包み込んだ。勢いよく始まった第4楽章では、ピアノの旋律に2つの弦楽器が応える展開が楽しく、希望に満ちた力強い音で駆け抜けた。

 ドヴォルザーク「ピアノ三重奏曲第3番ヘ短調作品65」は、かれんなメロディーから緊張感が漂い壮大になる2楽章が印象的だった。
 今回葵トリオは、公演前に若手奏者を対象にしたワークショップを5日間実施し、ワークショップの一部などを無料で一般公開した。ワークショップ参加者の中から5人が来年1月に沖縄で開かれる葵トリオのコンサートで共演することが公演中に発表された。 (田吹遥子)