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感覚頼りに職人技/就労継続支援A型事業所やーにんじゅ 高安高蔵さん


感覚頼りに職人技/就労継続支援A型事業所やーにんじゅ 高安高蔵さん レインボーカラーの綿あめを手に、作業の楽しさを語る高安高蔵さん=13日、北谷町宮城の就労継続支援A型事業所「やーにんじゅ」
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 ポップコーンの甘いにおいが漂う事業所。その一角にある機械に向かい、くるくると棒を回す。北谷町宮城にある就労継続支援A型事業所「やーにんじゅ」の高安高蔵さん(50)=嘉手納町=は、雲のようにふわふわな綿あめを作っていた。
 やーにんじゅでは就労訓練として綿あめとポップコーンを製造し、県内のレジャー施設やファーマーズマーケットで販売している。
 高安さんが同事業所に通い始めたのは2022年12月。計画相談員からの勧めだった。見学で綿あめを作る様子を見て、面白そうだと感じたのが入所のきっかけだった。「商品が店頭に並び、売れていく様子を見てうれしくなった。頑張る意欲につながっている」
 綿あめの巻き上げは温度や湿度、機械の調子に左右される。培った感覚を頼りに作業する職人技だ。「最初は苦戦したものの、いつの間にかできていた」と話す。
 トラック運転手をしていた13年前、脳梗塞で倒れた。右半身にまひが残る。立てるようになりたいとの思いがリハビリの励みになった。通常は両手を使う綿あめ作り。高安さんは左手のみで巧みに綿あめを巻き上げる。
 代表の東恩納大一さんは「とても真面目で誰よりも早く出勤する。輪の中心でだんらんしている様子にほっこりする」と存在感の大きさを話す。
 お酒を飲むことが大好きで、晩酌で泡盛をたしなむのが日課だという。
「ずっとやーにんじゅで働きたい」。笑みがこぼれる。事業所として新たな商品が販売できないか、思考を巡らせる日々だ。 (渡真利優人)

レインボーカラーの綿あめを手に、作業の楽しさを語る高安高蔵さん=13日、北谷町宮城の就労継続支援A型事業所「やーにんじゅ」