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沖縄アレルギーゆいまーるの会 加地涼子/アレルギーっ子育児日記2


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 生後半年の息子にアレルギー疾患があると分かった後の数年間は食べるもの、触れるもの全てが心配で、ぜんそくによる入退院を繰り返す日々でした。
 子ども3人の育児や仕事に追われ、正直心も身体も限界寸前。一番つらかったのは、ケーキのショーケースを見つめながら「おいしそう。いつか食べられる?」と、涙を我慢している息子の思いに応えられないことでした。
 寝顔を見る度に「今日もいっぱいごめんね。明日はもっと笑顔でいられますように」と願うばかり。そんな思いが届いたのか、4歳を境目に大きなぜんそくの発作は減り、入院することもなくなりました。
 ただ、食物アレルギー発症の際に使用する緊急注射薬「エピペン」を常に持ち歩き、専門医の下でどれくらい食べることができるのかを確認する「食物経口負荷試験」を定期的に受けるなど、明確にアレルギーと向き合う段階へとかわっていきました。
 当時は病院以外で相談できる人や場所もなく、スマートフォン片手にひたすらインターネットで情報収集。そんな時に出会ったのが「沖縄アレルギーゆいまーるの会」でした。偶然にも息子の主治医が同会に携わっている縁もありました。
 同会を運営する田村磨理さん、管理栄養士の助言や、他の保護者と交流できたおかげで、不安のみでアレルギーを怖がるのではないことに気づきました。保護者はもちろん、学校や行政、社会全体に正しい知識や情報が共有されることで事故を防げたり、食や生活の選択肢が広がってみんなが笑顔でいられる環境を整えたりできるのではと少しずつ希望がわいてきました。
 そして現在、息子は小学1年生。給食は食べられない献立も多いため、弁当を持たせています。きっと友達と同じものを食べたいだろうな。遠足でおやつの交換もしたいよね。
 これから先、果たしてアレルギーは治るのだろうか? それはまだ分からないけれど、6年間たくさんの人の愛情に見守られてここまできたことに感謝の気持ちでいっぱいです。そして一番の理解者である家族、何よりどんな困難も乗り越えてきてくれた息子に、心からありがとう。