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1014/介護職のやりがい、専門性とは/一人一人の人生に目を


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 現在、介護現場で仕事をしていますが、忙しい毎日の繰り返しのような状態で職員のチームワークもとれず、人間関係のトラブルも絶えない状態です。介護という仕事のやりがい、専門性とはどのようなものでしょうか。

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 福祉の分野で対象者を呼ぶ場合、生活困窮者、母子家庭、障がい者、要介護老人のような呼び名があり、他の社会政策の分野でも、非行少年、患者、受刑者、マイノリティーなど多くの呼び名があります。
 このように人間を何らかの属性で分類する方法は、社会政策や学問の分野では一般的なことですが、これを介護のような対人サービスの場面、特に入所施設の現場にそのまま当てはめると、均一処遇や機械的対応、繰り返しの業務に陥る危険性があります。
 ソーシャルワークの原則の一つに「個別化」があり、実践の一つに「寄り添い」があります。これは、ワーカーが一人一人の人生に目を向け、寄り添い、共に好ましい生き方、Wellbeing(ウェルビーイング)を求めることを意味しています。人間の最も近くで仕事をする介護従事者が、常に保持しておくべき固有の視点であり、政策担当者や研究者、教育者、あるいは行政サービスや経営者とは異なる専門性ということになります。
 また、仕事のやりがいを考える場合、自らの仕事に主体的に関わること、一定の成果や成功体験、満足感があることが必要と思われます。そのためには、日頃の介護業務を見直し、人間の属性(障がいや貧困など)への着目に加え、人間の主体を見つめる力、あるいはソーシャルワークを身につけることも一つの道であると考えます。(沖縄ソーシャルワーカー協会 保良昌徳)

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