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【記者解説】「自己決定権」軸に結集 議員有志の会 オール沖縄とらわれず


【記者解説】「自己決定権」軸に結集 議員有志の会 オール沖縄とらわれず 自治体議員有志の会発足の趣旨などを語る発起人の(前列左から)多嘉山侑三氏、與那覇沙姫氏、仲宗根由美氏=16日、那覇市古島の教育福祉会館
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

「名護市辺野古の新基地建設阻止」の旗印の下に結集した政治勢力「オール沖縄」の退潮を背景として、「地方自治の本旨」の実現を掲げる新たな勢力の結集を目指す団体が現れた。 (1面に関連)
 自治体議員有志の会は、玉城デニー知事が掲げる辺野古新基地建設阻止を支持しつつ、知事を支える母体「辺野古新基地を造らせないオール沖縄会議」の枠にはとらわれない動きを模索する。
 真の地方自治の実現といった新たな結集軸の下に、かつてのオール沖縄が成し遂げたように、多様な立場の受け皿となって政府と対峙(たいじ)する存在感を発揮できるのか注目が集まる。
 新基地建設に反対する民意を巡っては2014年と18年、22年の県知事選の結果のほか、19年の県民投票でも投票者の7割超が埋め立て反対の意思を示した。政府はこれらを一顧だにせずに新基地建設を進め、司法も国の手法を認める判断を続けるなど県民には諦めムードも漂う。
 設立宣言は復帰前の1963年にキャラウェイ高等弁務官が発した「自治は神話」に触れた。米施政の最高権力者が沖縄の自治実現を否定したものとして、当時大きな反発を呼んだ。その発言に触れることで、復帰後も実現しない沖縄の自治の現状を示唆。こうした事態にも「諦めない」姿勢を示すことで一石を投じる考えだ。
 オール沖縄が辺野古新基地建設阻止のワンイシュー(一つの課題)で結集したのに対し、有志の会は住民意思で決めたことを実現する「自己決定権」の実現に重きを置く。活動の中心もオール沖縄が国会議員や県議、市民団体だったのに対し、住民生活に最も近い市町村議員である点も異なる。
 投じた一石が波紋となって広がり、政府の対立軸とまでなり得るか。具体的な活動と説得力のある説明が必要だろう。既存の政治勢力との連携をどう判断するかも課題だ。 (梅田正覚)