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機密資格、来年法制化 罰則検討、身辺調査課題


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 政府は安全保障に関わる国の機密情報へのアクセスを認める資格制度「セキュリティー・クリアランス」を2024年に法制化する方向で調整を加速させる。民間で開発した先端技術を軍事にも使う「デュアルユース」が宇宙やサイバー分野などで拡大している状況を踏まえ、重要技術の国外流出防止を強化する。情報漏えいには罰則も検討。資格審査の身辺調査で集める個人情報の管理やプライバシー侵害への対応が課題となる。
 内閣改造で再任された高市早苗経済安保担当相は制度創設に向け、経済安保推進法改正案の来年の通常国会提出を目指すと明言。有識者会議を再開して詳細を詰め、与党との調整を急ぐ。
 セキュリティー・クリアランスは、安保上の重要情報へのアクセスが必要な政府職員や民間人を審査し、資格を付与した人にのみ情報の取り扱いを認める制度。政府が対象となる分野を指定する。審査では本人の渡航歴や逮捕歴、金銭事情などが調べられる可能性がある。
 欧米は導入済みだが日本は未整備なため、日本企業が先端技術の共同研究から外され、ビジネス機会を失う問題が指摘されていた。
 政府の有識者会議が今年6月にまとめた中間論点整理は、対象とする機密情報について、経済制裁やサイバー、宇宙分野など経済安保に関わる分野を念頭に指定することを提案。機密情報をレベル分けして管理している米国などを参考にした制度設計を促した。