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PFAS問題 発信期待 宜野湾ちゅら水会の照屋さん


PFAS問題 発信期待 宜野湾ちゅら水会の照屋さん 照屋正史さん
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

玉城デニー知事は国連人権理事会で、有害物質と廃棄物に関する会合にも出席する。発がん性が指摘されている有機フッ素化合物(PFAS)汚染について、米軍基地由来の可能性が高いとされながら立ち入り調査さえできないのが現状だ。この問題に取り組んできた市民団体は、知事が国連で発信することの効果に期待する。
PFASは自然環境でほとんど分解されず、体内に蓄積する。県内では米軍基地周辺の地下水などから高い値で検出されている。
日米両政府は2015年に環境補足協定に合意したが、基地内への立ち入り調査は「環境に影響を及ぼす事項が現に発生した場合」が条件。
県は汚染源特定のため米軍に基地内立ち入り調査を求めているが、20年の普天間飛行場の泡消火剤流出、21年のうるま市の米陸軍貯油施設からの消火用水流出といった事故を除き、実現していない。
国連の「有害物質および廃棄物の環境面での適切な管理と処分が人権へ与える影響に関する特別報告者」のマルコス・オレジャナ氏は22年、報告書に「事故、漏洩、訓練、廃棄により、日本の琉球列島にある米国と日本の基地から、国の基準の1600倍にもおよぶPFOS、PFOAの汚染が報告されている」と記載した。
普天間第二小で独自の土壌調査を行うなど、PFAS問題を追及してきた「宜野湾ちゅら水会」は、今年7月にスイス・ジュネーブで開かれた国連の先住民族の権利に関する専門家機構(EMRIP)に出席し、PFAS問題を訴えた。
スピーチした同会の照屋正史さん(67)は「私たちは市や県、国会議員にもずっと訴えてきた。国内でやれることはやってきたが米軍側に声が届いていない。日米の協議はブラックボックスで、国民の健康を守るはずの日本政府が壁になっている」と国連で訴えた理由を話す。
まずは汚染源の特定が求められるとして「健康が害されてからでは遅い。知事が先頭に立って(問題解決への)扉を開けてほしい」と期待を込める。
(沖田有吾)