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自民人事「1年後の火種」 麻生・茂木氏の 交代不可避に


自民人事「1年後の火種」 麻生・茂木氏の 交代不可避に 自民党役員任期制限を巡る経過
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 岸田文雄首相(自民党総裁)は13日の党役員人事で、麻生太郎副総裁と茂木敏充幹事長を再任した。総裁以外の役員任期は党則で「1期1年、連続3期まで」と定められ、両氏は残り1年。来秋の総裁選で再選を目指す首相は安定重視で両氏を続投させたものの、1年後の処遇は政権運営の火種になりかねない。自ら導入を主導した任期制限が、重荷となる展開も予想される。
 首相は2021年の総裁選で「権力の集中や惰性を防ぐ」として任期制限を提唱。在任期間が歴代最長の5年を超えていた二階俊博幹事長(当時)を狙い撃ちした。安倍晋三、菅義偉両首相の下で権勢を振るった二階氏には党内の不満が根強かったため党改革として支持され、総裁選勝利の一因となったとされる。
 麻生、茂木両氏は21年秋、それぞれ副総裁と幹事長に就任。昨年8月の内閣改造に合わせて再任され、13日から3期目に入った。党則に従えば来年9月に期限を迎える。
 麻生氏は党内第2派閥、茂木氏は第3派閥の会長を務める。最大派閥の領袖(りょうしゅう)だった安倍氏が昨年7月に死去したこともあり、第4派閥の会長に過ぎない首相は両氏との連携を政権安定の軸としてきた。退任すれば波乱要素となるのは間違いない。
 両氏が役職を交換するなどポストを移れば任期制限は適用されないが「現実味がない」(党中堅)とされる。
 岸田政権で非主流派に甘んじる二階派の幹部は警告する。「自分でまいた種だ。対応次第では党内基盤が崩れ、一気に不安定化するだろう」