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「ありのまま」働けるカフェ/大阪住之江に開店/「アバター」接客、出退勤自由


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 心身の不調で対面接客が難しい人たちが「ありのままの姿」で働けるチャイ専門店「トークウィズ」が7月、大阪市住之江区にオープンした。店で開かれるワークショップでは店員が画面上の「アバター」(分身)を通して遠隔で接客。製造スタッフは好きな時間に出退勤が可能だ。代表の古市邦人さん(36)は「新しい働き方の選択肢を示したい」と意気込む。
 古市さんは学習塾経営会社で勤務後、2013年から大阪市のNPO法人でハローワークに通う手前の人への支援を続けてきた。「摂食障害を患い、客の視線が気になって働けない」「アトピー性皮膚炎がひどく、外に出られない」―。支援の中で直面したのは、働けない人が抱えるさまざまなハンディだった。
 「本人を職場に適応させるのではなく、職場のルールを変えればいいのではないか」。これまでの就労支援の在り方に違和感を覚えた古市さんは20年に独立し、一般社団法人を設立。過去にスパイスカレー店を営んでいた経験を生かし、チャイ専門店の開業に向けて本格的に準備を始めた。
 トークウィズでは(1)店での対面接客(2)ワークショップでのアバター接客(3)製造スタッフ―の3種類の働き方がある。ワークショップではスパイスの調合から試飲までの作業を、タブレット端末に映し出されたアバター姿の店員が指導する。体調を崩しがちという20代女性店員は主に自宅から接続しており「通勤の負担がなくて安心だし、アバターを通せば自信を持って接客できる」と話す。
 材料のパック詰めなどをする製造スタッフにはシフトを設けず、業務量に応じて給料を支払う。古市さんは「能力があるのに働けない人を放置するのはもったいない」と語る。「ゼロか百かではなく、できる範囲で働ける環境を提供したい」

画面上の「アバター」(左上)を通しての接客を楽しむ人たち =7月、大阪市住之江区

心身の不調で対面接客が難しい人たちが働けるチャイ専門店「トークウィズ」をオープンさせた古市邦人さん =7月、大阪市住之江区