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特殊詐欺 話術で防止/島根松江/コンビニ店長、兄は有名芸人 


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 特殊詐欺防止に重要なのは巧みな「話術」―。島根県松江市のコンビニ「ファミリーマート松江学園南店」は、5年間で約10回特殊詐欺を未然に防いできた。店長の山内剛さん(36)の兄はお笑いコンビ「かまいたち」の山内健司さん。山内店長は「利用客への積極的な声かけが一番効果的」と強調する。
 2018年4月、1人で店を訪れた高齢男性が「これ買いたいんだけど」と山内店長に話しかけてきた。差し出された携帯電話のメールを読むと、男性に未納料金があり、電子マネーで3万円相当を支払ってほしいという趣旨だった。
 不審に思った山内店長は、男性に購入するのを待ってもらって警察に相談。駆け付けた警察官から詐欺だと伝えられた。
 「コンビニが被害を防止する最後のとりでになる」と考えた山内店長は、「ストップ!これらは詐欺です!!」と書かれたポップを電子マネーカード売り場に掲示。店員にも、売り場で悩んだそぶりを見せる客に気を配るよう指示した。
 山内店長が最も気を使うのが声のかけ方だ。いきなり「詐欺です」と伝えるのではなく、「何に使いますか」と購入目的を尋ね、相手の話に耳を傾けながら丁寧に説明することを心がけている。
 これまでに特殊詐欺を未然に防止したとして、地元の松江署から4回表彰を受けた山内店長。「たまたま兄が芸人なので、自分が話題になることで、特殊詐欺被害を食い止めることに役立つのでは。今後も取り組みを続けたい」と話した。

ファミリーマート松江学園南店の山内剛店長 =7月、松江市