有料

中国 EV部品国産指示 半導体など 日米欧の企業排除狙い 供給網、国内で完結へ


中国 EV部品国産指示 半導体など 日米欧の企業排除狙い 供給網、国内で完結へ 多くの人でにぎわう上海国際モーターショー。奥は中国EV大手の比亜迪(BYD)のブース=4月、中国上海市
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【北京共同=野崎亮】中国政府が中国の電気自動車(EV)メーカーに対し、半導体などの電子部品に国産を使用するよう指示していたことが17日、分かった。外交筋が明らかにした。急速に普及するEVのサプライチェーン(供給網)を中国企業で完結させ、日米欧の部品企業の排除を進める狙いがあるとみられる。
 世界最大市場で日本の自動車メーカーのEV戦略や中国企業との協業に影響する恐れもある。
 外交筋によると、中国工業情報省の閣僚経験者が昨年11月、中国の自動車メーカーを集めた会合で、EV半導体などで国産部品を使用する数値目標を立てるよう指示した。達成できない場合は罰則を科す可能性もあるという。
 また車載用電池で世界最大手の寧徳時代新能源科技(CATL)に対し、対外投資の際は100%出資企業を設立するよう求めたという。他国企業が参画しないようにし、技術の流出を防ぐ狙いとみられる。CATLはドイツやハンガリー、インドネシアで工場建設を進めている。
 工業情報省などは今月1日、2023~24年の自動車業界の発展に関する計画を発表し、供給網の安定の重要性を強調。自動車用の半導体や電池などで技術支援をしていく考えを示した。
 中国の自動車メーカーはこれまで、日米欧企業との合弁会社を通じて技術を吸収し、成長してきた。現在、EV中国最大手の比亜迪(BYD)はほぼ全ての部品を国内調達できると説明している。
 中国の研究機関によると、中国の自動車部品の市場規模は22年に3兆8800億元(約78兆円)。28年には2割超増え4兆8千億元に成長する。
多くの人でにぎわう上海国際モーターショー。奥は中国EV大手の比亜迪(BYD)のブース=4月、中国上海市