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拉致解決見通せず 日朝宣言21年 首相「直轄協議」動きなく


拉致解決見通せず 日朝宣言21年 首相「直轄協議」動きなく 日朝交渉の経過
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 日本と北朝鮮の首脳が国交正常化実現への努力を表明した「日朝平壌宣言」の署名から17日で21年となった。日本が重視する拉致問題は2002年10月に被害者5人、04年5月に被害者家族5人が帰国したのを最後に足踏みが続く。岸田文雄首相は自身直轄でハイレベル協議を進めると繰り返し言及。解決に向けた対話の糸口を探るものの進展は見通せない。
 日朝平壌宣言は02年9月、訪朝した当時の小泉純一郎首相と金正日総書記が署名。拉致とは明記せず「日本国民の生命と安全にかかわる懸案問題」と表現し、北朝鮮が再発防止へ適切な措置を取ると確認した。
 岸田首相は今月13日の記者会見で拉致問題に関し「共に新しい時代を切り開く観点から、私の決意を金正恩朝鮮労働党総書記に伝え続ける。私直轄でハイレベル協議を進めたい」と強調した。
 「直轄」との表現は、5月の拉致被害者の帰国を求める集会で、首相が初めて用いた。「あらゆる交渉ラインを通じ、首相主導で取り組むとの意思表示」(政府関係者)とされる。
 ただ、日朝間の具体的な動きは確認されていない。5月の首相発言を受け、北朝鮮は外務次官談話で「日本が新たな決断を下し、関係改善の活路を模索しようとするなら会えない理由はない」と伝えたが、独自制裁の緩和など「日本側の譲歩が先」との姿勢は変えていないとみられる。