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司令塔後任に期待と不安 衆院憲法審、加藤氏ら浮上 自民後任人事


司令塔後任に期待と不安 衆院憲法審、加藤氏ら浮上 自民後任人事 最近の衆院憲法審与党筆頭幹事
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 衆院憲法審査会の与党筆頭幹事を長年務めた自民党の新藤義孝氏が内閣改造で入閣し、後任人事に注目が集まる。議事運営や与野党交渉を取り仕切る「司令塔」で、加藤勝信前厚生労働相や中谷元・元防衛相らベテランが浮上する。岸田文雄首相が掲げる来秋の改憲実現へ向け、アクセルを踏むのか。合意形成を重視し、議論を尽くすのか。与野党には期待と不安が入り交じる。
 「憲法をよろしくお願いします」。新藤経済再生担当相は内閣改造の13日、公明党の北側一雄憲法調査会長に電話した。新藤氏は2018年11月、与党筆頭幹事に就任した。以降、野党にも配慮しながら審査会の運営を進め、停滞していた衆院憲法審の毎週開催を定着させた実績がある。
 後任に名前が挙がる加藤氏は、安倍晋三元首相の側近として知られ、官房長官や総務会長も歴任した。手堅い仕事ぶりに定評があり、衆院憲法審幹事も経験している。中谷氏は与党筆頭幹事の経験者だ。改造前まで首相補佐官を務め、かつては宏池会(現岸田派)に所属していた。公明幹部は「新藤さんだから議論が進んだ部分はある。今後の運営は少し不安だ」と漏らす。
 首相が改憲実現を目指す来年9月末の総裁任期満了まで残り1年に迫る。13日の記者会見では、改憲への思いはいささかも変わっていないとして「布陣を強化し、覚悟を示す」と明言した。日本維新の会の馬場伸幸代表は「残された時間は非常にタイトだ。新しい筆頭幹事には決意と覚悟を持ってほしい」と注文。国民民主党の玉木雄一郎代表は「勝負の秋だ。与野党を超えて改正条文案の一定の合意を得ることが重要だ」と期待した。
 先の通常国会では自民、維新、公明、国民など5党派が、緊急事態時に国会議員任期を延長する改憲が必要との認識で一致した。今後は、国会発議の前提となる改憲原案の作成に着手できるかどうかが関門となる。自民閣僚経験者は「首相が改憲を実現すると言っている以上、誰が筆頭幹事になろうとも、来年の通常国会には原案を出すべきだ」と後押しする。
 衆参両院の改憲勢力は、国会発議に必要な3分の2以上の議席数を確保している。立憲民主党の憲法族は「自民が筆頭幹事に強硬派を据え、多数決で押し込まれたら苦しくなる」と身構えた。