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15/鈴木信行/診療明細書を見てみよう


15/鈴木信行/診療明細書を見てみよう イラスト 鈴木勇介 
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 「今日行った歯医者って値段が高いのよ。おかしいと思うの!」
 いつも行く歯医者が休みの日に歯が痛くなり、急きょ自宅近くの歯医者で治療を終えた方が言っていました。
 医療費は基本的に国のルールで定められており、各医療機関で請求する額を勝手に増減できるものではありません。初診料や休日加算などがかかったのではないかと推測した私は尋ねました。
 「診療明細書は受け取らなかったの?」
 「何それ?」
 病院や薬局など医療機関では「診療明細書」という一般の店で言うレシートのようなものを患者に出すことができます。そこには初診料、投薬料といった項目があり、それぞれの費用が「点数」で書かれています。
 項目が明示されていますので、それを見ると、どうして値段がいつもと違うのかなど、何となく想像がつくものです。
 なお、保険診療である場合は「円」ではなく「点」で計算します。1点は10円です。再診料73点とあったら、730円がその医療機関の収入になるということです。
 医療機関はこの点数のうち、患者の自己負担分をその日に患者から受け取り、それ以外を医療費を負担する健康保険組合などに月ごとにまとめて請求しています。
 毎年、確定申告で医療費の還付申請をされている方は、当たり前のように診療明細書を受け取り、まとめておられることと思います。
 中にはさまざまな制度を活用することで医療機関に支払う自己負担がない方もいるでしょう。そういう方には明細を渡さない医療機関もあるようです。それでも患者が要求すれば診療明細書を受け取ることは可能です。
 自己負担のない方でも受付に診察券を出す際、「会計時に診療明細書を受け取りたい」と伝えておき、帰りにざっくりでいいので目を通すことを私はお勧めしています。その理由は二つあります。一つは、あなたに少しでも医療に関心を持ってほしいから。もう一つは、医療機関に対しチェックの目があることを意識させたいからです。
 なお、医療費について聞きたい場合、医師は詳しく知らないことが多いと思いますので、会計の担当者やソーシャルワーカーに尋ねるのがよいでしょう。
 診療明細書を受け取りたい場合は、その旨を事前に伝えておくことをお勧めします。事務の方が突然、作成するように言われても対応に困る可能性があるからです。 (患医ねっと代表)
  (次回は10月4日掲載)

イラスト 鈴木勇介