有料

辺野古建設「民主主義軽視」/知事、各国NGOに/スイス 基地派生の環境破壊も


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【ジュネーブ19日=沖田有吾】玉城デニー知事は19日午前11時(日本時間同日午後6時)、スイス・ジュネーブの国連欧州本部で開かれた、国連NGO市民外交センター主催のサイドイベントのシンポジウムで講演した。米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設について、2019年の県民投票で7割が埋め立て反対の意思を示したにもかかわらず、日米両政府が計画を推進していることに対して「民主主義の手続きによる意思の表示すらないがしろにされている」と指摘した。 (2、24、25面に関連)

 米軍基地から派生する航空機騒音や基地が汚染源とみられる有機フッ素化合物(PFAS)問題、多様な生物が生息する大浦湾を埋め立てる新基地建設による環境破壊などを批判した。
 シンポジウムには各国のNGO関係者が参加した。玉城知事は沖縄の歴史や地理的な特性について紹介。沖縄戦の後、サンフランシスコ講和条約で日本が主権を回復した一方、沖縄は切り離され米施政権下に置かれ、日本本土から米軍基地が移転されてきた経緯などを伝えた。
 不平等と指摘されている日米地位協定を巡っては、日本と同様に米軍が駐留しているドイツやイタリアでは航空法など自国の法律や規定を米軍にも適用させていると指摘した。
 「世界一危険」と言われる普天間飛行場の危険性を除去するために県外・国外移設と早期閉鎖、返還を求めているとし、日米両政府が進める辺野古新基地建設については係船機能をはじめ新たな機能が整備されることから「沖縄の過重な基地負担や、基地負担の格差を永久化するものでしかない」と指摘した。
 国際社会に対して「沖縄の現状に関心をもってもらい、解決するための協力をいただきたいと考えている。沖縄で起きている問題は人権や民主主義、環境の問題など、世界の共通の問題であり、共に考えてもらえればと思う」と呼び掛けた。 19日に予定されていた有害物質に関する会合でのスピーチは時間切れにより実現しなかった。