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「侵略者打倒へ団結を」 ウクライナ大統領、国連演説


「侵略者打倒へ団結を」 ウクライナ大統領、国連演説 ウクライナ大統領の国連総会演説ポイント
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【ニューヨーク共同=飯沼賢一】ウクライナのゼレンスキー大統領は19日、昨年2月のロシアによる侵攻後初めてニューヨークの国連総会に出席した。同日始まった一般討論で「侵略者を倒すため団結しなければならない」と演説、世界の首脳らに支援を呼びかけた。ロシアが食料危機や占拠した原発を武器に使い、多くの国を「脅している」とも訴えた。 (7面に関連)
 侵攻から1年半が経過し、各国で支援継続を疑問視する声が上がる中、侵攻の影響は世界規模で波及しているとして国際社会の結束を促した。「平和に向けた全ての国の取り組み」が必要だとして、欧米主要国だけでなく、グローバルサウスと呼ばれる新興・途上国が対ロシア包囲網に加わることの重要性を強調。南アフリカやケニアの首脳らと相次いで会談した。
 20日には、ウクライナ情勢に関する国連安全保障理事会の会合に初参加し、ロシアのラブロフ外相と直接対峙(たいじ)。国家元首が敵国の外相と公に相対する異例の機会になる。
 ゼレンスキー氏は演説で「ロシアは食料不足を武器化し、アフリカから東南アジアまで影響が広がっている」と批判。ロシアが占拠する南部ザポロジエ原発を念頭に、原発を「汚い爆弾」に変え、兵器として利用しようとしていると指摘した。
 ロシアが多くの子どもを連れ去っているとし「時がたてばウクライナを憎むようになり、家族の絆は断たれる」と指摘。ウクライナ人としてのアイデンティティーを破壊する「明らかなジェノサイド(民族大量虐殺)だ」と糾弾した。
 また自身が提唱するロシア軍撤退などを盛り込んだ和平案「平和の公式」に140以上の国や機関が全面的か部分的に支持していると主張した。
 一方、ブラジルのルラ大統領は、ロシアとウクライナ双方の軍備強化と欧米による軍事支援を念頭に「大金が兵器に費やされ、開発にはほとんど使われない」と不満を表明した。
 ゼレンスキー氏は21日にワシントンを訪れ、支援継続反対論が徐々に広がる米政界に重ねて協力を要請する。その後、カナダを訪問する見通し。
 各国首脳らが演説する一般討論は26日まで。