有料

エリザベート1878/桜坂劇場・あす公開/美貌の皇后の「老い」


エリザベート1878/桜坂劇場・あす公開/美貌の皇后の「老い」
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 昨今は、人の容姿について他人がとやかく言ってはいけない世の中になった。ただ、どんな容姿であろうと、それをさらしながら生きなきゃいけないわけで、どう見られているかはとても気になるところ。衰えゆく肉体を受け入れるのか、加齢や重力にあらがうのか、己の美醜について、もう1人の己に選択を迫られるのが昨今の私の日常。しかも、抗(あらが)いたいけど、抗えていないのが現状。つらい。でもまぁ、自分で決められるだけ今は平和だ。
 美貌ゆえに歴史に名を残したオーストリア皇后エリザベートの「老い」をテーマに、女性の生き方を考える本作。
 ただただその美しさを褒めたたえられたエリザベートもついに40歳。いよいよお飾りですらいられない。そもそも人としてお飾りだなんて嫌だ。とはいえ、体を鍛え、コルセットで肉体を締め付け、食事制限することもやめられない。彼女の取り柄は美しいことだけなのか。あらゆる状況に抗い乱心するエリザベートが赤裸々に描かれる。監督はマリー・クロイツァー。(桜坂劇場・下地久美子)