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感性豊かな絵で受賞/いしみね救護園 新城元美さん


感性豊かな絵で受賞/いしみね救護園 新城元美さん お気に入りの絵を前に描くことの喜びを語る新城元美さん=20日、那覇市首里石嶺町のいしみね救護園
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 施設の廊下に飾られた色彩鮮やかな絵。感性豊かに描かれた無数の絵は館内を明るくさせる。那覇市首里石嶺町にある、いしみね救護園の新城元美さん(60)=同市=は、カラフルな近未来のバスの絵を机に置いて見せた。
 いしみね救護園に入所したのは2017年。統合失調感情障がいがある。平日は南風原町にある就労継続支援B型事業所に通い、アーサの袋詰め作業をしている。
 小さい頃は漫画が好きで漫画家を志していたという新城さん。県内の短大へ進学したものの、徐々に夢は冷めていったという。「漫画家は現実的じゃなかった。もう一人の自分が無理だとささやいたようだった」
 卒業後は事務員や介護福祉士、保育士の仕事を転々とした。この間、入院も経験し絵を描くことはなかったという。
 本格的に絵と向き合うようになったのは救護園に入所後。宣伝を見て応募した「第5回タウ・パラリンアートコンテスト」では琉球日産賞(協賛企業賞)を受賞した。作品「コミュニティバス」は事業所にあった車の模型からヒントを得たものだった。交通に不便を感じている施設の利用者も多く、誰もが快適に乗り降りできるバスがあればとの期待を込めた。10日間ほどで描き上げた。表彰式は緊張でがちがちだったと振り返る。
 生活指導員の金城麻華さんは「インプットとアウトプットが上手。絵の色使いも丁寧で発想が豊か」と才能を絶賛する。
 読書好きで椋(むく)鳩十や小川未明の児童文学作家を愛する新城さん。本からアイデアを得ることもあるという。今後のコンテストに向け今日も色を重ねる。 (渡真利優人)

お気に入りの絵を前に描くことの喜びを語る新城元美さん=20日、那覇市首里石嶺町のいしみね救護園