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継続的働きかけ重要


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 玉城デニー知事は21日、スイス・ジュネーブの国連訪問の全日程を終えた。知事が「キックオフ」と位置付ける今回の訪問では、会合でのスピーチ以外にも特別報告者や専門家との面談を実現させ、今後につながる種をまいたと言える。
 会合でのスピーチは、3回を予定していたが、時間切れによって18日の国際秩序をテーマとした会合での1回にとどまった。
 もともと各国政府の集まる国連で、NGOによる訴えには政府間のやりとりの足りない部分を補完する意味合いがある。NGOの市民外交センターの発言枠を使ってのスピーチだったため、会合の時間制限などから発言ができない事態は当初から想定されていた。
 知事は21日の会見で、スピーチが1回にとどまったことについて「発言だけを予定してきていたのなら残念だったかもしれないが、スタッフ、国連関係者の協力で特別報告者や関係セクションの大変重要な方々と面会できた」として、沖縄の現状を伝え、人権や自己決定権、民主主義、差別撤廃、軍縮、環境問題など、多くの点で共感を得たことに手応えを示した。
 面談した特別報告者や専門家から、問題解決に向けて国連の人権システムをいかに活用するべきかのアドバイスなども受けた。県庁にノウハウを蓄積するという意味で成果を残した。
 今回の訪問でまいた種を実らせ、成果を収穫できるよう、継続的、組織的な働き掛けをしていくことが重要だ。
  (沖田有吾)