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政府の調査不足 力学的な試験行わず


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 県は沖縄防衛局の設計変更申請を不承認とした際、軟弱な地盤が最も深い水面下約90メートルに達する地点「B27」について、力学的試験がされていないことを問題視した。
 B27の地盤について、受注業者の調査結果は、地盤改良する予定の70メートルよりさらに深い地盤も軟弱と示していた。しかし政府は、調査結果の存在が報道されるまで、B27地点での強度調査はしていないと説明していた。
 政府は設計変更申請で、B27地点の力学的な試験を行うことなく、別の3地点の測定結果から強度を類推している。この3地点はB27地点から約150メートル、約300メートル、最も遠いB58地点は約750メートル離れていることから、県は不承認の際に「(B27)地点周辺の性状等を適切に考慮しているとは言いがたい」と指摘した。
 しかし、今年3月の福岡高裁那覇支部の判決は、県の不承認について「裁量権の逸脱又は濫用がある」と判断した。大規模な工事で、調査を徹底しようとしない怠慢とも映る政府の姿勢を司法が追認した形と言える。 (沖田有吾)