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膿疱性乾癬診断力向上を/学会が製薬会社と連携


膿疱性乾癬診断力向上を/学会が製薬会社と連携 PIONEER GPPの連携調印を終えた、(左から)シェルドNBI代表取締役、森田日本乾癬学会理事長、大久保同理事
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 日本乾癬(かんせん)学会(理事長・森田明理名古屋市大教授)はこのほど、膿疱(のうほう)性乾癬(GPP)の診断や治療の教育プログラムを会員に提供するため、製薬会社日本ベーリンガーインゲルハイム(NBI)と連携協定を結んだ=写真。
 乾癬は免疫バランスの異常で皮膚に炎症が起きる慢性疾患。中でも発熱や倦怠(けんたい)感に加え、うみを持つ発疹が全身に出るGPPは、全体の約2%と数は少ないが、症状は非常に重い。心不全や腎不全に至ることもあり、指定難病になっている。
 「昔は命を落とす人もまれではなかった」と学会理事で、教育プログラム策定に当たった大久保ゆかり東京医大教授。症状の激しさで救急医や内科医が最初に診ることも多く、皮膚科に回っても診断がすぐにはつかないことも珍しくない。
 大久保さんは「皮膚科医でも年に数例診れば多い方で、GPPの診断が難しいことは世界の専門医で意見が一致している」と話す。近年、生物学的製剤などの有効な薬が次々と開発され、治療法は進歩しただけに、教育の重要性はより増した。
 PIONEER GPPと名付けられた教育プログラムは、GPPの最新の研究成果や専門医の臨床経験を医師が共有することで、早期診断と最適な治療選択の実現を目指す。まずは8月の日本乾癬学会学術大会で教育セミナーを開催。専用ウェブサイトも開設する。森田さんは「診断の入り口になる皮膚科医の教育を行い、次の段階で他の診療科へも広げたい」と話している。