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「バラ色ダンス純粋性愛批判」/社会の壁打ち崩す/なはーと


「バラ色ダンス純粋性愛批判」/社会の壁打ち崩す/なはーと バラ色ダンス純粋性愛批判の舞台で石こうを使ったパフォーマンスを披露する演者たち=2日、那覇市の那覇文化芸術劇場なはーと(photo by bozzo)
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 パフォーマーの川口隆夫が演出・振り付けした「バラ色ダンス純粋性愛批判」が2~3日、那覇文化芸術劇場なはーとであった。舞踏家・土方巽(たつみ)の代表作「バラ色ダンス」を、ゲイカルチャー由来の「キャンプ」的感覚から解釈した作品。社会の壁や既成概念を打ち崩すようなエネルギーに満ちた舞台だった。2日の公演を取材した。
 2人の男性が、会場に背を向けながら、高い壁のようにそり立つ板をゆっくりと超えて幕が開ける。その後は全ての演者の動きが予想できない。銅像のように舞台端に立つ演者が動き出し、箱のような物体が壊れる。その後、白いドレスを着た2人が次々登場。箱はピアノで、不協和音が会場に鳴り響いた。大きな頭のような赤いかぶり物をかぶった演者は、よりいびつな動きが何かに捕らわれているようにも見えた。
 舞台を超えた動きにも目が離せなかった。演者を近くから映した動画が同時放映されたが、映像は舞台とはまるで別世界のような色と質感。中盤には川口が「一緒にお茶を飲みませんか」と観客を舞台に上げる場面も。舞台と会場がつながるような不思議な一体感を演出した。
 フィナーレは、肌に石こうをまとった演者たちによる縄跳び。周囲に石こうをまき散らしながら笑顔で飛ぶ様はカオスだが、開放感にあふれていた。
 ほか出演は三浦一壮、川村美紀子、藤田真之助、三好彼流。
  (田吹遥子)

バラ色ダンス純粋性愛批判の舞台で石こうを使ったパフォーマンスを披露する演者たち=2日、那覇市の那覇文化芸術劇場なはーと(photo by bozzo)