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128人全員 水俣病と認定  大阪地裁 国などに3億円超賠償命令


128人全員 水俣病と認定  大阪地裁 国などに3億円超賠償命令 判決骨子
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 水俣病の未認定患者救済のため2009年に施行された特別措置法に基づく救済策から漏れた128人が、国や熊本県、原因企業チッソに計5億7600万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が27日、大阪地裁であった。達野ゆき裁判長は「原告らの症状は水俣病以外に説明ができない」として128人全員を水俣病と認定し、国などに計3億5200万円(1人当たり275万円)の賠償を命じた。(6面に関連)
 同様の訴訟は東京、新潟、熊本の各地裁でも争われているが、判決は今回が初めて。
 厳し過ぎるとの批判がある国の認定基準や救済対象を限定した特措法に強く疑問を投げかけた形となった。今後、上級審などで同様の判断が続けば、国は対応を迫られそうだ。
 特措法は約3万8千人に一時金を支給するなどしたが、不知火海(八代海)周辺の熊本、鹿児島両県の9市町の沿岸部などに居住歴があり、チッソがメチル水銀排出を止めた翌年の1969年11月末までに生まれた人などに原則限定した。
 達野裁判長は、特措法の対象地域や年代から外れた人でもメチル水銀に汚染された魚介類を多食すれば、水俣病を発症する可能性があると指摘。水銀暴露から長期間が過ぎた後に発症する遅発性水俣病の存在も認めた。
 国側などは、賠償請求権が消滅する「除斥期間」(20年)の経過も主張したが、判決は、原告らが水俣病と診断されてから20年が経過していないとして退けた。原告128人のうち6人はチッソにのみ賠償を命じた。
 原告側弁護団は「全面勝訴」と評価し「判決は(国など)被告らの患者切り捨てを厳しく断罪した」との声明を出した。
 大阪訴訟の原告は、14年9月以降に提訴した大阪など13府県に住む51~87歳の男女。手足のしびれなどの症状があり、1人当たり450万円の賠償を求めた。不知火海周辺で幼少期を過ごし、メチル水銀に汚染された魚介類を多く食べたことが原因だと主張していた。
 一方、被告側は国の患者認定基準を満たしておらず、発症するほどの水銀暴露はなかったと反論していた。