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キーウバレエ団「白鳥の湖」上演 改訂演出で2幕に 長澤美絵、二役演じる コンベンション劇場


キーウバレエ団「白鳥の湖」上演 改訂演出で2幕に 長澤美絵、二役演じる コンベンション劇場 オデット姫役の長澤美絵(右端)とジークフリート王子役のタラス・コフシュンら=3日、宜野湾市の沖縄コンベンションセンター劇場棟
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 ウクライナの首都キーウを拠点とする「キーウ・クラシック・バレエ団」による全国ツアーの沖縄公演が3日、宜野湾市の沖縄コンベンションセンター劇場棟であり、「白鳥の湖 全2幕」を上演した。プロダンサーの迫力あふれる舞台が観客を魅了し、同バレエ団プリンシパルで日本人ダンサーの1人、長澤美絵が白鳥のオデットと黒鳥のオディールを繊細に演じ分けた。

 公演は昼と夜の計2回で、主催した琉球放送によると計2232人が来場した。昼公演を取材した。

 従来の「白鳥の湖」は3幕構成の作品。一方、同バレエ団での上演ではプティパ、イワノフ版を基に、ウクライナを代表する振付家のワレリー・コフトゥン演出版を、同バレエ団芸術監督のテチヤナ・ボロヴィークが改訂演出して2幕に仕立てた。ボロヴィーク改訂演出版では、「道化」のキャラクターも登場するという特徴がある。同役を演じたソリストの北口雅人も軽やかな舞で舞台を引き立てた。

 長澤は、2005年にロシアのワガノワ・バレエ・アカデミーを卒業後、ウクライナのドネツク国立バレエ団に入団した。2010年に現在のバレエ団に移籍し、2013年にプリンシパルに昇格した。ロシアのウクライナ侵攻を受け、日本政府の要請で日本に帰国。日本からヨーロッパへ渡り、バレエ団の海外公演などにも参加している。

 公演終了後に取材に応じた長澤は「ウクライナでの日常が、戦争ですべてが変わってしまった。最初は本当に戸惑ったが、今は毎日こうして舞台に立たせてもらえることが本当にありがたいことだと感じている」と強調した。

 「戦争は一刻も早く終わってほしい。そんな中でも芸術文化を守るために、皆がプロとして、自分自身とウクライナ、両方のために踊り続けている。観客の皆さんにもウクライナのことを応援してもらいたい」と願った。 (田中芳)