有料

「24年問題」来週対策 首相方針 労働環境改善へ


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 岸田文雄首相は28日、トラック運転手の人手不足が指摘される「2024年問題」を巡り、関係閣僚会議を来週開催し、荷役作業の自動化推進などに向けた緊急対策を取りまとめる方針を示した。10月中に決定する経済対策に盛り込む考えだ。東京都内で記者団の質問に答えた。これに先立つ運送会社の視察では、賃上げを推進する姿勢を改めてアピールした。
 運送業界では、働き方改革関連法に基づき、24年4月から運転手の長時間労働が規制される影響で、物流が停滞する懸念が出ている。業界側は人材確保のため、賃金を含む労働環境の改善を訴えている。
 首相は緊急対策に、再配達率の半減や電気自動車(EV)トラックの導入、自動運転の促進も組み入れると説明。賃上げの原資を確保するため、事業者側が適正な運賃を受け取れるよう来年の通常国会で法整備を進める意向も明らかにした。
 運送会社では積み荷の降ろし作業などを視察後、関係者と車座で意見交換した。経営者や運転手側からは、賃上げへの環境整備や、再配達負担軽減に向けた荷物の受取場所の増設などを求める声が出た。
 視察に労働組合出身で元国民民主党副代表の矢田稚子首相補佐官、公明党の斉藤鉄夫国土交通相を同行させ「自公国」連携を演出した。
 自民党内には、労組票を狙い、連合傘下の民間産業別労組が支援する国民民主を自公連立の枠組みに加えようとする動きがある。矢田氏の首相補佐官起用はその布石との見方が出ており、自公国連立論が当面くすぶりそうだ。