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心込めて革細工制作 心込めて革細工制作 恩納智恵理さん 


心込めて革細工制作 心込めて革細工制作 恩納智恵理さん  魚のキーホルダーと縫い針を手に作業の楽しさを語る恩納智恵理さん=27日、うるま市与那城照間のうるま市障がい者支援センターあやはし苑
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 イラブチャーやアバサー、ジンベエザメ。沖縄の代表的な魚の革製キーホルダーが箱の中に並べられている。うるま市与那城照間にある、うるま市障がい者支援センターあやはし苑の恩納智恵理さん(30)=同市=は、慣れた手つきで針に糸を通し、牛革を縫っていた。

 あやはし苑は3年ほど前から就労訓練として革細工を始めている。沖縄の代表的な魚のキーホルダーやお守りのサン結びなどを制作している。

 恩納さんが同事業所に通い始めたのは2015年。軽度の知的障がいがある。母親に勧められた数カ所の事業所の中にあやはし苑があった。職員の人柄の良さと居心地の良さが通所を後押しした。「自分が作った商品をかわいいと言ってくれる人がいるとうれしくなる。頑張る意欲につながっている」

 キーホルダーは型取りから始まり、色塗り、乾燥、縫い作業などさまざまな工程を経て完成する。牛革は天候や湿気に左右されるため、取り扱いには細心の注意を払う。火を使う作業もあり、最初は緊張したというが、今では全ての工程をこなす革細工の職人だ。

 「塗り絵など細かい作業が好き」といい、自分に向いていると実感する。

 管理者の下門尚子さんは「恩納さんが休みの日は作業が回らなくなる。おしゃべり上手でムードメーカーです」と存在の大きさを語る。

 EXILEの「Flower Song」が大好きな恩納さん。前向きな歌詞に心を打たれ、毎晩聞くことがルーティンだ。革細工職人は今日も心を込めて作業する。

 (渡真利優人)