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補選スタートで関係者安堵 長崎4区、冒頭解散で恐れた中止


補選スタートで関係者安堵 長崎4区、冒頭解散で恐れた中止 衆院長崎4区補選の期間中に衆院解散があった場合の影響
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 秋の統一補欠選挙がスタートする。告示は10月5日が参院徳島・高知選挙区、10日が衆院長崎4区で、22日投開票の結果は岸田文雄首相の政権運営や今後の政局を占う。20日の臨時国会冒頭の衆院解散は事実上なくなったが、仮に首相が踏み切っていれば、衆院総選挙を優先し、長崎4区補選は中止となる恐れがあった。首相による解散風が不安をあおった格好だ。
 首相は物価高や賃上げに対応する経済対策策定を指示し、減税など負担軽減にも言及した。財源を裏付ける2023年度補正予算案の国会提出は明言を避けたため、与野党に「衆院解散か」との臆測が一気に広がった。
 結局9月29日、首相は補正予算案を「臨時国会に提出したい」と明言。10月中の国会日程を与党と確認したため、冒頭解散はほぼ消えた。一連の経緯を補選の関係者は、はらはらして見守った。
 公選法の規定により、22日の補選投票日までに衆院が解散されれば、補選は全国で実施する総選挙に吸収される。20日冒頭解散は、その可能性を秘めていた。00年に春と秋の統一補選が導入されて以来、前例はない。
 補選の期日前投票も、総選挙をやり直すなら無効になる。「投票行動をないがしろにした」と見られかねなかった。
 事情を複雑にしたのは、小選挙区定数「10増10減」だ。欠員を埋める補選は長崎4区だが、その全域が新たな区割り「長崎3区」に移行し、他の市や町が加わる。自治体によるポスター看板設置など混乱が予想された。
 選挙制度に詳しい自民党ベテランは「冒頭解散があれば有権者を愚弄(ぐろう)すると批判を浴びていた」と胸をなで下ろした。
 衆院補選と異なり参院補選は衆院解散にかかわらず予定通り実施される。