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ファクタリングで破綻も 中小企業、売掛債権売り資金調達 高額手数料、法規制なし 金融庁、注意呼びかけ


ファクタリングで破綻も 中小企業、売掛債権売り資金調達 高額手数料、法規制なし 金融庁、注意呼びかけ 2者間ファクタリングのイメージ
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 2者間ファクタリングと呼ばれる資金調達手法が、中小企業などの間で急速に広がっている。取引先から代金を受け取る権利(売掛債権)をファクタリング業者に売却して、予定よりも早く金銭を受け取る仕組み。手数料を引かれるものの資金繰りの厳しさを一時的にしのげる利点がある一方、業者の手数料が高額で、取り立てを巡るトラブルが顕在化するなど危険も潜む。明確な法規制がない中、破綻に追い込まれる企業も絶えず、金融庁は注意を呼びかける。
 2者間ファクタリングは契約で債権売買が禁じられた場合でも取引先に隠して利用でき、保証人や担保は不要。銀行の融資審査が通らなくても使えるため、代金の支払いが数カ月かかることもある建設業や運送業で特に需要があるという。
 取引先から代金を受領した利用者はファクタリング業者にそれを支払うが、手数料は高額のケースが多い。債権額面の82~90%で売買されることが一般的で、年利換算で100%以上の利息を支払っているのと同じことになる。
 出資法は貸金の金利を最大でも年20%(月約1・6%)と規定するが、2者間ファクタリングは形式的には債権の売買であるため、こうした貸金関連の法規制は原則適用されない。
 支払いが遅れると、債権売買を取引先に通知され、契約違反を理由に取引を打ち切られる恐れもある。
 金融庁は、受け取る金額が債権の額面に比べて著しく低い場合、売買を装った貸し付けの可能性があると注意喚起している。
 また実質的には金銭の貸し付けだとして、元利用者が損害賠償や過払い金の返還を求める訴訟も各地で相次いでいる。
 南山大法科大学院の深川裕佳教授(民法)は、2者間ファクタリングは企業の資金調達手段として重要だとしつつ、中には法外な手数料を取る悪質業者もあると指摘。「基本的に事業者間の債権売買であり、裁判による被害救済もハードルが高い。手数料があまりに高いと感じる時は利用を控えるなど、利用する側も注意が必要だ」と話した。