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セルフ脱毛、相談増加 安価、手軽さに潜む危険 専門家 「事故は自己責任」


セルフ脱毛、相談増加 安価、手軽さに潜む危険 専門家 「事故は自己責任」 全国の消費生活センターに寄せられた「セルフエステ」に関する相談件数
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 サロンで自ら機器を扱う「セルフ脱毛」に関する相談が各地の消費生活センターなどに相次いで寄せられている。医師による医療脱毛より安価で、下半身など人に見られたくない部位も手軽に脱毛できる点が人気だが、機器の扱いを誤ってやけどをしたり火事になりかけたりといったトラブルが頻発している。
 専門家は、肌の状態によって強度を変えるなどの対応が欠かせず「事故は自己責任と考えるべきだ」と警告する。
 「セルフ脱毛サロンで脱毛したら発疹が出た」。東京都消費生活総合センターに20代女性からこんな相談が寄せられた。
 同センターによると、女性は皮膚科医に「脱毛が原因の可能性がある」と診断されたため、サロン側に治療費などを求めたが「問題が起きた場合は自己責任を負う」と書かれた同意書にサインしていたため、補償はかなわなかった。
 国民生活センターによると、セルフ脱毛を含む「セルフエステ」に関する相談件数は、2014年度の5件から22年度は508件まで増加した。脱毛中にけがをしても、使用前から機器が壊れていた場合などを除き、自己責任となることがほとんどだという。
 あわや惨事になりかけたことも。セルフ脱毛機器のある静岡県内のトレーニングジムで4月、利用者が脱毛中に機器から出火した。県警などによると、利用者本人が消し止め、幸いけがには至らなかった。
 横浜市で脱毛サロンを経営する渋井綾乃さんは「セルフ脱毛は大反対だ」ときっぱり話す。
 肌の状態はホルモンバランスなどによって日々変化するため、専門知識のあるスタッフがその都度聞き取りをしながら部位や強度を決定すべきだと強調する。「それでもセルフ脱毛に行くのであれば、事故は自己責任と考えるべきだ」
 一方、安全なセルフ脱毛を目指す動きもある。
 日本セルフエステ協会(福岡市)は(1)研修を受けたスタッフが常駐(2)スタッフが機器の使い方を利用者に説明する―などの条件をクリアした店舗にお墨付きを与える「認定制度」を導入した。
 これまでに福岡、熊本両県の計11店を認定店舗とした。松嵜(まつざき)真由美代表理事によると、これまで認定店舗でトラブルが起きたことはないという。
 皮膚科が専門の百束比古(ひゃくそくひこ)医師は、セルフ脱毛機器は医師が手がける医療脱毛と比べ肌への負担が軽いものの、使い方次第ではやけどのリスクは十分にあると指摘。「素人による脱毛は危険だという前提に立って考えるべきだ」と話した。