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人間の世界 ダンスで表現/「Co.山田うん」の「InC」


人間の世界 ダンスで表現/「Co.山田うん」の「InC」 「InC」で表現するCo.山田うんのダンサーたち=9月15日、那覇市の那覇文化芸術劇場なはーと
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 山田うんが振り付け、演出、美術を担当したコンテンポラリーダンスの舞台「InC(インシー)」が9月15、16の両日、那覇文化芸術劇場なはーとであった。最小限の音が反復して重なるミニマムミュージック「InC.」が鳴る中で、調和と崩壊、再生など人間の世界そのものを表現しているようだった。15日の公演を取材した。
 「InC.」は作曲家のテリー・ライリーの代表作。今回は、音楽家のヲノサトルがテリー・ライリーの演奏指示書に従って制作した音源を使用した。
 ハ長調の明るい単音で幕開け。「Co.山田うん」のダンサー12人は規則的に動いたり、おのおのが自由に動きながらも連鎖した新たな規則性を生み出したりと絶妙な調和をくり返す。抱きしめたり、絡んだり、人間らしい動きもあった。
 中盤に全員の動きがそろい、けたたましい音が鳴ると破壊音がして真っ暗になった。冒頭で茶色の衣装に身を包んでいたダンサーたちが、今度は色鮮やかな服装で登場。再生や喜びを全身で表し、幕が閉じた。
 振り付けや構成は、さまざまな音が自由に加わりながら調和する「InC.」の音楽のように作ってきたと山田は言う。「ソロやデュオパート作りはダンサーに任せ、構成段階で一緒に磨いた。お互いが納得できる場所を考えて共有した」と振り返る。沖縄公演に山田は「観客が持つ感度の鋭さや温かさを感じた」と語った。
  (田吹遥子)

「InC」で表現するCo.山田うんのダンサーたち=9月15日、那覇市の那覇文化芸術劇場なはーと