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政策変更、丁寧な説明を


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 政府が、他国領域のミサイル基地などを破壊する反撃能力(敵基地攻撃能力)の手段となる米国製巡航ミサイル「トマホーク」の導入前倒しを決めた。木原稔防衛相は理由について「厳しい安全保障環境を踏まえた」と説明するが、周辺国を攻撃可能な重要装備の取得計画について、政府内の検討は十分だったのか。必要性やリスクを含め、国民への丁寧な説明が求められる。
 政府がトマホークの導入を決めたのは、昨年12月の防衛力整備計画の策定時。先月の内閣改造まで自民党安保調査会幹部だった木原氏は、前倒しについて「ずっと検討してきた」とする一方で「防衛相に就任して業務説明を受ける中で判断した」とも説明している。
 中国など周辺国からの反発が根強い長射程ミサイルの取得計画見直しは、大きな政策変更と言える。政府内でどのような議論が行われたのか、決定過程を明らかにする必要がある。
 政府は反撃能力を巡り、発動のタイミングや想定されるケースについて質問されても「個別具体的に判断する」などと回答を拒み続けている。
 トマホークを搭載するイージス艦の基地といった長射程ミサイルの配備先や弾薬庫は攻撃対象となる恐れもあるが「配備先は決まっていない」と繰り返すばかりだ。自信を持って防衛力強化を進めるのなら、説得力のある説明に努めるべきだろう。